ロリポップ・アンド・バレット

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『シンカリオン』第1話の雑感。王道キッズアニメでワクワクするぞ!

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キービジュアルを見た段階で「何だこのロボット!めちゃくちゃカッケェじゃん!」となったので視聴決定。鉄道に精通したオタクという訳ではないのだが単純にロボットの格好良さの虜になってしまったのだ。

冒頭、謎の新幹線が変形して夜の街を騒がせる。対策本部が動き出すのだが、場所を示すテロップからどことなくシン・ゴジラを感じる。

JRの全面協力という事もあり、随所に鉄道ネタが使われている。"その手"のファンにはたまらない。残念ながら鉄道に詳しくないので彼らの感動を私も同じように感じることはできないのだが…。

 

こんな感じで冒頭から完全にシンカリオンの持つ「ノリ」のようなものに乗せられちゃったわけだ。特記すべきは「親子」で「ロボットもの」という部分だ。この要素は『エヴァンゲリオン』で大きく取り上げられていたのだが、エヴァとは対照的に親子仲がすごく良いんですよ。abemaでエヴァ特集を本当にチラっとだけ見ていたので細かいところの比較は出来ないのだが、親子間の確執など負の側面が中心に描かれていたので結構胃に来るような作品だったな〜、というのがエヴァのイメージ。

 

『シンカリオン』はもうめちゃくちゃポジティブだ。新幹線好きの男の子が、「父さんの役に立てるなら何でもする!」って言うわけですよ。さすが子供向けアニメといいますか。

普通はいきなり「あなたは選ばれた人間だ。戦いなさい」なんて言われたらそれこそシンジくんみたいに逃げたくなりますよね。「憧れの新幹線に乗れる上に父さんの仕事を手伝えるんだ!乗るしかねぇ!!」なんてもう明るすぎて安心感すら覚えてしまう。

 

垣間見える"今時のオタク"感と「進化」のテーマ

 

さらに言えば適合検査がまさかの「音ゲーアプリ」なのが面白い。リズム感と新幹線の操縦に一体なんの関係があるのかというツッコミをつい入れてしまいたくなるのだが、そんなガバガバ感も「そういうものか」と許してしまえる、不思議な空気感が『シンカリオン』にはあったのだ。

 

ヒロインはまさかのユーチューバーだ。しかも10万再生である。これって半ば晒し上げられてるんじゃ??とか、数年後に枕に顔を押し当てて足バタバタするやつじゃんとかツッコミどころ満載でこれもまた面白い。

『シンカリオン』は鉄道という、ずっと前からその手のオタクたちに愛されてきたコンテンツだけに留まらず、音ゲーYouTubeという比較的最近のオタク要素にまで手を伸ばしているのだ。

「今時感」はやはり時代が進むにつれて求められるものだと思うのだが、『シンカリオン』における「今時感」というものは、実に大きな意味を持っていそうだ。というのも、『シンカリオン』の作品テーマとして「進化」があると考えるからだ。そもそも「新幹線」というモノ自体が、既存の電車から「速さ」「利便性」の部分を追求した結果だからだ。つまり「新幹線」そのものが「進化」の象徴であると私は考える。  

 

冒頭で登場した怪しげな新幹線も、変形することである種の「進化」を遂げたと言える。対策本部も新幹線をさらに「進化」させることで、相手の進化に対抗する。技術は常に進化していくものであり、時にはその「進化」が人を脅かすかもしれない。それを表したのが今回の敵である。そして正しい形の「進化」をもって、悪を倒すのがシンカリオンの役割だ。

 

作中に出てきた音ゲーYouTubeも、身近な「進化」の一つである。元々はゲームセンターなどのアミューズメント施設でしか遊べなかった音ゲーが、今こうして携帯一つで出来てしまう。さらに、これまではオーディションで自分を売り込む以外に有名人になる方法がなかったのが、YouTubeというコンテンツの普及によって「誰もが有名人になり得る」ようになったこともまた進化の一つだろう。

そんな「身近な進化」に揉まれながら我々は生きているという実感を随所に感じることができる。それを活かすも殺すも、時には"脅かされる"も自分次第である、そんな答えのないテーマを明るい作風に組み込んできたのが『シンカリオン』だと思えてならない。

これからも『シンカリオン』が描くであろう「進化理論」を最後まで見届けたい。