シゲの鑑賞日記(仮)

主に趣味(アニメ、仮面ライダー、ポケモンなど)を自由気ままに語りますヾ(๑╹◡╹)ノ" 特に、アニメの感想などをつらつらと書いていくつもりです^ ^

「なのは」の冠を外した『ViVid Strike!』女の子同士がガチで殴り合う、文字通りビビッドなアニメだった

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こんにちは、シゲです!

ViVid Strike!』をご存知だろうか。そう、なのはシリーズの系譜ながらも「なのは」の冠を外した昨年度のアニメである。いやもう、本当に(良くも悪くも)「挑戦した」作品としか言いようがない。まずは自分自身のなのは歴を見てみると、無印・A'sは視聴、ストライカーズだけ未だに視聴せず。そして2015年度に放送されたアニメ『なのはVivid』を見ているので、なのはシリーズに対する理解度は一応、"最低限度は"ある状態だ。

『なのは』シリーズはテーマに「友情」を置いている。宿敵との信念のぶつかり合いや様々なすれ違いを経て、最終的には諸悪の根源とも言えるラスボスを倒すために共闘するうちに友情を深める、という展開がなされる。無印はなのはとフェイトの確執から始まり、フェイトの記憶と出生の謎に迫り、最終的にはフェイトの母・プレシアの陰謀を打破する物語だ。『A's』では「はやて」という新キャラを添え、闇の書を巡り、ヴォルケンリッター一味との激しい抗争が繰り広げられる。

 

 『ViVid Strike!』は『なのはVivid』の主役である高町ヴィヴィオを脇役に添え、新キャラのフーカ・レヴェントンとリンネ・ベルリネッタというダブル主人公形式で物語が進められていく。しかし私個人として一番の見所はフィジカルに全振りした戦闘シーンだと思っている。『なのはvivid』を契機に、なのはシリーズでの戦闘はこれまでのように命をかけた「戦い」ではなく、「競技・試合」としての意味を持つようになった。なのはvividの段階から既に「魔法少女ではなく、もはや"格闘少女"だ」と散々言われていたが、『ViVid Strike!』はその"格闘少女"の側面をさらに強化したアニメだった。

 

例えば試合中の魔法の使用には制限があり、基本的には自らの肉体を武器に戦闘が行われる。また、なのはvividの時からそうであったが、試合に向けて筋トレをするシーンが幾度と描かれる(しかも今作については筋肉のつき方が無駄にリアル)。言っておくが、仮にも彼女たちは魔法少女なのだ。その魔法少女が勝つために筋肉を鍛えるというのが非常に"漢らしい"のだ。

もっと言えばリンネのコーチだったジルは、現役時にはあまり恵まれた肉体を持ち合わせておらず、度々体を故障して引退を余儀なくされたという。つまり『ViVid Strike!』において、「肉体」は魔法以上に強い意味を持つ要素なのだ。作中では度々「才能・資質」といったワードが出てくるが、ViVid Strike!においての才能とは「肉体」のことである。リンネが筋肉の鎧で相手の打撃を軽減したり、まさに筋肉はすべてを解決してくれる存在だったのだ。これほどまでにフィジカルに特化している本作は、まさに「魔法少女、辞めました」とも言えるアニメだ。

 

強さへの執着、あるいは狂信的な「強さ観」

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4話は衝撃的だった。リンネがあれほどまでに「強さ」を求め、勝ちにこだわり続ける理由が語られたエピソードだ。クラスメイト三人によるいじめが原因で、祖父のように慕っていたロイの死に目に会えなかったリンネが「弱い自分」を断ち切る為、いじめっ子達に報復をするあのシーンだ。自分の弱さゆえに誰も守れなかった事を悔やみ、屈折した「強さ観」を持つようになる。

実は私はこのシーンを見て内心スカッとした。そりゃあもちろん流血沙汰だからビックリしたのは事実だけど、いじめっ子を野放しにしてたら次に何されるか分からないし、やられっぱなしじゃ流石に胸糞悪すぎるのでリンネの行動には少しだけ共感できる部分がある。それは置いといて、リンネの強さの元である「強くならなければ何も守れない」という価値観は一見、彼女を成長させてるように見えるのだが、これがまた彼女をより複雑な形に拗らせることになるのだ。

 

さらにリンネにはもともと恵まれた肉体がある。つまり屈折した「強くなりたい」という思いと、「強くなれる身体」がベストマッチしていたわけだ。その資質とベストマッチ加減に目をつけたのが眼鏡コーチのジル・ストーラだ。ジルは上述の通り、現役時には自らの身体の恵まれなさ故に引退した過去がある。このことから才能・資質に対して異常なまでの執着心を持っているのだ。現役時に自分が成し遂げられなかった事を、リンネならやってくれる。リンネに対する狂信的な態度が見受けられた。

「強くなりたい」という思いと「強くなれる身体」、そこへさらに「強くしてくれるコーチ」が加わり、ベクトルの違った歪な"強さ観"がより強大なものへと膨れ上がってしまったのだ。それ故にフーカ達とのすれ違いはますます加速することになる。

 

露呈された「強さ観」の脆さ

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ミウラとの試合に勝利したリンネだが、格下の相手に二度もダウンを取られたことに焦りを感じる。そして8話、リンネに唯一黒星をつけたことのあるヴィヴィオとの試合が繰り広げられる。ずっと勝ち続けてきたリンネにとって、黒星をつけたヴィヴィオは自身の信じる「強さ観」を揺るがす存在だった。

ここで面白いのは、劇中でも明言されていたのだがヴィヴィオは大して身体的に恵まれているわけではない、という所だ。体力や筋力はリンネに大きく劣るのだが、自慢のスピードでカバーをして戦闘を優位に進め、結果的にリンネは因縁の敵ヴィヴィオに二度目の敗北をするのだ。ヴィヴィオに「試合を楽しんでいない」と指摘されたリンネ。そもそも彼女は「自分が強くなる」だけの為に筋トレや格闘技をしていた。

彼女の原動力は「弱ければ何もできない」「強くなければまた誰も救えなくなる」という強迫観念のようなものだった。ヴィヴィオに敗退したことをキッカケに、リンネを突き動かしていた「強さ観」は脆く崩れ去ってしまった。強さ観が崩壊すれば、リンネにとってもはや格闘技を続ける意味は無くなってしまう。なぜならばヴィヴィオと違い、彼女は格闘技を好きでやっているわけではないからだ。

 

同時に才能至上主義でリンネを指導してきたジルとの関係も危うくなる。上述の通り、リンネは「強くなりたいという思い」「強くなれる身体」「強くしてくれるコーチ」という三要素がうまくマッチしていたからここまで来れたのだ。ではその3つから「"強さ"に関わるもの」を全て抜いたらどうなるだろうか。そう、彼女にはもう何も残らなくなったのだ。

 

フーカとリンネの確執、そして歪な師弟関係の終着点

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まさかのヴィヴィオ勝利でフーカとの試合が不意になったと思われたが、アインハルトの「フーカとの試合に勝てばタイトルマッチを正式にやりますよ」という条件で、待ちに待ったフーカvsリンネの試合が行われる。初っ端から激しすぎる戦闘で、冷静に考えるとルーキーの癖にフーカ強すぎだろとツッコミを入れたくなるのだがそんな無粋なツッコミをさせる暇もなく、ただ勢いで見てしまう。ミウラやヴィヴィオ戦の時もそうだったが「おいおい本当に女の子が主役のアニメかよ」と言いたくなるくらい激しい殴り合いだ。ライバル同士が殴り合って信念をぶつける様はどこか『スクライド』を彷彿させる。

 

フーカは「ドブのような濁った」リンネの目を覚まさせる為に一発殴って喝を入れてやる!という何とも昭和チックというか、これまた他のアニメの名前を出すことになるが『グレンラガン』のカミナが「シモン!歯ぁ食いしばれぇ!」と喝を入れるシーンを思い浮かべてしまう。強烈な一撃をリンネに浴びせる。意識朦朧とする中、リンネはジルとの厳しい練習の日々を思い出し、歪な形ながらもしっかりと絆で結ばれていた事に気づく。リンネの持っていた「強さ観」は崩れたものの、ここに来るまでにコーチと共に積み上げてきたものは確かに今も存在しているのだ。屈折した師弟関係はようやく正しい形に収斂する。

激しい攻防の末、フーカが勝利する。気絶して倒れこむリンネの体を支えるフーカはまさにイケメンだった。才能・資質・強さに執着していたリンネはもうそこにはいない。拗らせまくっていたリンネを、殴って目を覚まさせたフーカ。非常に入り乱れた関係は「フーカのワンパン」で全て綺麗に解決したのだ。

 

ViVid Strike!』はまさにビビッドなアニメだった

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もはや魔法少女ではない『ViVid Strike!』、タイトルからもついに「魔法少女リリカルなのは」の部分が消えた作品だが、無印でのフェイト・A'sでのヴォルケンリッターのように「ライバルとの確執と、和解のプロセス」をきっちり描いていた点は他のなのはシリーズと共通している。

なのはから離れた部分ももちろんかなり目立った本作だが、なのはシリーズでずっと描き続けていた系譜は確かに受け継がれていた。

魔法少女からスポ根への大転換を成し遂げた『なのはvivid』、そこへさらに「圧倒的なフィジカル要素」と「複雑な師弟関係」を組み込んだ、文字通り新鮮なアニメだった。