シゲの鑑賞日記(仮)

主に趣味(アニメ、仮面ライダー、ポケモンなど)を自由気ままに語りますヾ(๑╹◡╹)ノ" 特に、アニメの感想などをつらつらと書いていくつもりです^ ^

『リトルウィッチアカデミア』はなぜドッキドキーのワックワクー!な作品になり得たのか 〜TRIGGERが深夜に遺した異色の王道

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こんにちは、シゲです!

元々は文化庁による若手アニメーター育成プロジェクトアニメミライ」の参加作品だった『リトルウィッチアカデミア』、その後クラウドファウンディングによって資金調達をし、2015年には映画『リトルウィッチアカデミア 魔法仕掛けのパレード』が公開された。今回紹介するのはアニメミライ版、映画版の設定はそのままに時系列をリセットしたTVアニメーション版の『リトルウィッチアカデミア』(以下『リトアカ』)を語ります。何はともあれ、半年間を描き切ったTRIGGERスタッフの皆さまお疲れ様でした!

 

結論から言うと、本当に「ドッキドキーのワックワクー!」なアニメだった!

私自身TRIGGER系列作品は好きだったので、今回のリトアカも期待を膨らませながら見ていた。と同時に「TRIGGER」と「王道」の二要素が思っていた以上に相性が良かったと感じている。これから、リトアカを形成した王道成分とTRIGGER独特の作風が如何に完璧な着地をしたのかを見ていきたい。

 


てんこ盛りの王道成分


このアニメははTRIGGER関連作品の中でも「異色の王道」だったと感じている。というのも、「熱さ」に全振りしつつも、綿密な設定を活かして壮大なストーリーを編み出したTRIGGERの原点『グレンラガン』、危ない下ネタにメーターを振り切ったギャグアニメ『パンティ&ストッキング』、服をモチーフにして非常に屈折した「姉妹の確執」を描いたなんだかよく分からない(褒めてます)アニメ『キルラキル』、脚本にあの岡田麿里を起用した意欲作『キズナイーバー』など、TRIGGER関連の作品はどれもこれもドがつくほどの変化球だからである。(前2作品はガイナックス制作。後のTRIGGER結成に大きな影響を与えた)

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『リトアカ』を形作る要素として「魔法使い」「学園」「成長もの」「ライバルが優等生」「師弟関係」「ドラゴンボール型作劇」など、これでもか!というほど王道成分を詰め込んできた印象がある。これらの要素は大分使い古されてきた感はあるが、逆にここまで振り切っていると清々しいものである。その中のドラゴンボール型作劇とは私が勝手に考えた言葉である。簡単に説明すると『ドラゴンボール』なら「ドラゴンボール」、『ボンバーマンジェッターズ』なら「ボムスター」、『仮面ライダーオーズ』なら「コアメダル」のように、目的となるモノを求めて話が進んでいくストーリーのことである。(正確にはこの目的となるモノのことを作劇の専門用語で「マクガフィン」と呼ぶみたいだ)『リトアカ』の場合は「7つの言の葉」である。

 

こういったドラゴンボール型作劇は視聴者にストーリーの進捗状況が目に見えてわかるというメリットがある。7つの言の葉の役割は、単にグラントリスケルを蘇らせるという目的というよりも、アッコを成長させる一種のギミックのようなものであった。一つ一つの言葉がいわゆる「教訓」であり、アッコが精神的に大人になる為には不可欠だったのだ。

 

長くなったが『リトアカ』を形成する王道成分はTRIGGER関連作品の中でも異色だったが、深夜アニメとしてもここまで王道に振り切ったのはかなりの異色だったと言えるだろう。欲を言えば思い切って夕方に放送して子供達に言の葉の教訓を知ってもらいたかったなと私は思っている。それでも、ブレずに王道という一本の道を貫いたその"潔さ"はやはり『リトアカ』らしいなと感じるものであった!

 

 

 アッコを取り巻くキャラクター達

 

序盤から中盤にかけてはゆっくりとしたテンポで日常を描きつつ、「シャリオに憧れて躍起になるアッコ」と「アッコに対して強く当たるダイアナ」という対立的な構図がメインで話が進んでいく。こういう書き方をするとダイアナが悪者みたいな感じがするが決してそうではなかった。ダイアナ自身もアッコ熱意や型破りなスタイルを認めてはいる。特に嘆きのバハロワ回ではアッコではなく自分が月光の魔女に選ばれた時には、いわゆる「試合には勝ったけど勝負には負けた」というようなダイアナの描写がなされていた。アッコに敵対心を向けつつも、どこか憎めずにむしろ「こいつ本当はいい奴なんじゃ…」という雰囲気を感じずにはいられない。このようなシーンから後々にアッコとダイアナが手を取り合うような展開がくるのか…?というワクワク感が生まれたのだ!

 

そしてアッコの成長を見守る存在がアーシュラ先生である。序盤からアーシュラ先生=シャリオというフラグが全面的に出ていた。最初は逆にフラグが立ちすぎてミスリードじゃねーのと思ったがそんなことはなかった。むしろこの作品は最初から見る人にアーシュラ先生=シャリオという大前提を提示しておき、その上で「夢を諦めたアーシュラ先生」と「夢を追うアッコ」という切なすぎる師弟関係という構造を魅せたかったのではないだろうか。

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アッコを影で支えたのはアーシュラ先生だけではない。隙あらばアッコにイタズラをするスーシィもなんだかんだアッコの事を大事に思っているし、ロッテもなりふり構わず進むアッコの事を心配していたり、言ってしまえば全てのキャラクターがアッコの保護者だったように感じる。他にもコンスタンツェ、アマンダなどのサブキャラクター関連のエピソードもほんとうに良く掘り下げられていたのも良かったポイントである。(コンスタンツェ回のグレンラガンパロディは「やっぱTRIGGERだなぁ」という妙な安心感を覚えたのは私だけではないはず…)。

つまりアッコを取り巻くキャラクター達は、熱すぎる主人公を全力でラジエーターのように制御し、作品のバランス感を保つ役割を担っていたのだ!

 

 

20話以降のスピーディすぎる展開

 

こうして物語はバランス感を保ちつつ、終盤へと差し掛かる。20話では「ダイアナ、学校辞めるってよ」騒動が起こり、アッコは当然ダイアナに説得を試みる。20話で描かれていたのは「伝統」と「新たな力」の融合。古いしきたりを重んじるダイアナと、革新的な考えを持つアッコ。今まで対立していた2人がついに手と手を取り合って協力プレイをするのだ!これまでも対立しつつ仲間になるかも?という雰囲気を醸し出してきたが、ついにここで手を取り合うのだ!「やっとここまできたか!」という興奮でこれまたドッキドキーのワックワクー!である!

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だが物語のピークはここで終わりではない。まだまだジェットコースターは上へと上がって行くのである!黒幕のクロワの存在が中盤あたりからチラついていたが、本格的に動き出すのはこれからである。クロワは策士だった。アッコは単純な性格なのでクロワにとっていわば「カモ」である。アッコがクロワのSSSに魅せられてホイホイと騙されてついて行ってしまい、それを横で指を噛み締めて見ているアーシュラ先生=シャリオが非常に不憫でならないのだ!

 

さらに23話では「シャリオのショーによってアッコの魔法力が失われた」という超ド級の衝撃的事実が判明してしまう。あまりに衝撃的すぎて口が思わず開いてしまう。そして現実を受け入れることができずに失踪するアッコ。無理もないだろう。なぜなら自分に夢を与えた存在が、同時に「夢を奪った」存在でもあるのだから。そこでダイアナがアッコを見つけ出して話を聞くのだが、ダイアナも元々はシャリオに憧れていたという事が判明する。心の奥で、シャリオ一筋で突っ走っているアッコを羨んでいたことを打ち明けるのだった。ダイアナの株がここでも爆上がりである!対立し合っていた2人だが元を辿れば2人とも「シャリオ」に帰結する、非常に面白い「良きライバル」の関係であった!

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24話でついにアッコは念願のシャリオとの再会を果たす。「ずっとずっとシャリオの事を追いかけてきたアッコがようやく報われた」というだけでも既に涙腺崩壊なのに、まだまだピークは続く。アッコは何とシャリオにシャイニィロッドを渡すのだ!シャリオは「人を楽しませる魔女になる」という願いによってシャイニィロッドに一度選ばれたものの、ショーへのプレッシャーで自分を見失い、言の葉を最後まで見つける事なくロッドに見放された過去がある。その点でシャリオは本当に"不憫な"キャラクターだったと私は感じている。

アッコは7つ目の言の葉を蘇らせることに成功する。この場面はアッコ以上に、シャリオが報われたシーンでもあるのだ!シャリオが成し得なかった事を、アッコが実現したのである!もうこのシーンは涙無しには見られなかった…!そして20話以降、涙涙の連続だった『リトアカ』もついに最終回を迎えるのだ!

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『リトアカ』は如何に完璧なランディングを成し遂げたか

ダイアナとアッコの和解、シャリオとの再会と、やるべき事はほとんど終わらせた『リトアカ』。最後に残るのは一つ前の話で不穏な雰囲気を醸し出していたミサイルである。そしてクロワとシャリオもようやく手を取り合って協力プレイをするのだ!よく見たら2人とも髪の毛が昔の状態に戻っている、昔の関係に戻れたのだという細かな演出がグッとくる…!

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9人の魔法使い「ナインオールドウィッチ」をもじって「ニューナインウィッチ」がミサイルを止めるために立ち向かう!ロケットえんぴつのようにどんどんと後ろの魔女を分離?してミサイルを追うシーンはどこか『グレンラガン』最終回のマトリョーシカ戦法を彷彿する。

ヤスミンカから始まり、コンスタンツェ、アマンダ、そしてスーシィとロッテが次々と分離され、アッコとダイアナに全てを託す…。ミサイルを目前にした途端、ミサイルは急激に凶暴化し始める。と同時にTRIGGERの目まぐるしく動く作画が炸裂する!次々と飛んでくるミサイルをアッコは変身魔法で回避をする。ここの作画がめちゃくちゃカッコよくて興奮を隠せない!それでもミサイルの猛攻は止まる事なく、アッコたちを襲う。アッコが撃墜され、続いてダイアナまでも箒から落下…。と思いきや、アッコがいつかの箒レースのアレに乗ってダイアナの手をガッチリと掴むのだ!!!そしてこのタイミングで流れるShiny Ray!!正直、"完璧"である…!ダイアナが20話でアッコの手を掴んで空を飛んだ対比である!今度はアッコがダイアナの手を掴んで空を飛ぶのである!

ついに最終局面、"2人で"「ノットオーフェ・オーデンフレトール!!!」と叫びながら矢を放つのだ!!!もう駄目だった…!24話の時点でもう涙腺はとっくに崩壊していた…!なのに最終回でそれを超える作劇をしてくれたのだ…!

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「人との繋がり」これは本作品が提示したテーマであった。後期オープニングでは出だしがグラントリスケルの紋章から始まり、それがキャラクターの手と重なっていく、という演出がなされている。サビ前にはアッコとダイアナがガッチリと手を掴むシーンなど度々この作品には「手」が出てくる。先ほど述べた20話でダイアナがアッコの「手」を掴むシーン、最終回でアッコがダイアナの「手」を掴むシーンは「人と手を取り合うこと」の尊さを端的に表していたのではないだろうか。「人との繋がりを大事にする」というのは、言ってしまえば当たり前の事である。しかしその"当たり前のことを大事にする"ことを訴えかけたのがなんとも『リトルウィッチアカデミア』らしいのだ!

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リトルウィッチアカデミア』これはどこまでも王道を走り、我々に「人との繋がりを大切にしなさい」という直球のメッセージを投げかけたアニメだった!TRIGGERは深夜に、いや「深夜だからこそ」王道に挑戦して、私たちに「ドッキドキーのワックワクー!」を遺したのかもしれない。長くなりましたが、楽しい作品をありがとう、リュオーン!